「返す枚数は少ないほど良い」は半分ウソ:返す/返さないの判断基準

オセロでよく聞く格言:

「序盤は返す枚数が少ないほど良い」

これは“だいたい正しい”。
でも そのまま信じると負ける場面が普通にある

この記事では、

  • なぜ「少なく返す」が推奨されるのか
  • それがウソになる瞬間(返した方がいい局面)
  • 実戦で使える判断基準(チェックリスト)
  • 図つきの例題

をまとめる。


0. まず結論:見るべきは「返した枚数」じゃなく「次の局面」

返し枚数はただの“結果”。
重要なのは、その手を打ったあとに

  • 相手の合法手が増えるか減るか(可動性)
  • 角周り(X/C)に触れやすくなるか
  • 辺に近づきすぎないか
  • 自分の次の手が残るか

つまり、

**「どれだけ返したか」ではなく「何が起きたか」**で判断する。


1. なぜ「返す枚数は少ないほど良い」と言われるのか

序盤にたくさん返すと、盤面に自分の石が増える。
すると相手は“ひっくり返せる列”が増え、合法手が増えがち。

その結果:

  • 相手が選び放題になる(良い手を選べる)
  • 自分は詰まりやすい(打てる場所が減る)
  • 角周りの入口(X/C)が開きやすい

だから「返しすぎは危険」という教えが生まれる。


2. でも“半分ウソ”な理由:返さないと負けることもある

「少なく返す」を徹底しすぎると、逆の事故が起きる。

事故A:相手の手が減らず、ずっと主導権を握られる

返しを嫌って“弱い手”を続けると、相手の可動性が落ちず、相手がずっと良い手を選べる。

事故B:角周りの入口(X/C)を相手に“踏ませられない”

相手を追い込むには、ある程度盤面をコントロールして「逃げ道を消す」必要がある。
返さなさすぎると、相手の逃げ道が消えず、いつまでも安全に回避される。

事故C:中盤の勝ち筋(手止め)が作れない

“手止め”は、返し枚数が少ない手だけでは作れないことが多い。
必要なタイミングで、ちゃんと返して形を作る必要がある。


3. 判断基準:返す/返さないチェックリスト(これで決める)

ここからが本題。
迷ったら「返す枚数」じゃなく、次の項目を順番にチェックする。


チェック1:その手で相手の合法手は増える?減る?

最重要。

  • 増える → 返しすぎは危険になりやすい
  • 減る → 多少返しても強い手になりやすい

返しても、相手の手が減るなら“返す価値がある”。


チェック2:角周り(X/C)を開けてない?

返した結果、角周りに入口が生まれると一気に危険。

  • X:角の斜め(例:b2)
  • C:角の隣の辺(例:a2, b1)

角周りに触れる手は、返し枚数が少なくても危険なことがあるし、
返し枚数が多くても角周りを安全にできるならOKなこともある。


チェック3:自分の次の手が残る?(自分が詰まらない?)

返さなさすぎる手は、形が受け身になって「次に打てる場所がない」になりがち。

  • 次の自分の合法手が1〜2個しかない → 危険信号
  • 多少返してでも“逃げ道”を確保した方がいいことがある

チェック4:辺に触ってない?(角なし辺は危険)

序盤は特に、

  • 角がない辺で石が増える
  • 角周りの入口(X/C)と繋がる

で事故が起きやすい。
返す/返さない以前に、辺に寄る手は慎重に


チェック5:目的は何?(手止め/誘導/パリティ)

返すことが“目的達成”に必要なら、返す。

  • 相手の手を消す(手止め)
  • 相手にX/Cを踏ませる誘導
  • 終盤のパリティ調整(終盤なら)

目的がないのに返す=ただの返しすぎ。


4. 具体例:返すのが正解になるパターン

パターン1:返すことで相手の合法手が減る(可動性勝ち)

「返す=相手が楽」じゃない例。
返した結果、相手の打てる場所が減れば、返し枚数が多くても強い。

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この候補が“たくさん返す手”だったとしても、
相手の選択肢が減るなら価値がある。


パターン2:返して“逃げ道”を作る(自分が詰まない)

返さない手にこだわると、自分の合法手がなくなってパスが発生することがある。
序盤のパスはだいたい損。

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返してでも自分の打てる場所を残す、という考え方。


パターン3:返すことで相手に“嫌な手”を踏ませる誘導ができる

相手の安全地帯を消して、角周りの入口(X/C)へ追い込むには、
ときどき“返して形を作る”が必要。

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ここで返して「相手の逃げ道を削る」方向に働くなら、返す価値がある。


5. 逆に「返さない(少なく返す)」が強い典型

パターンA:返すと相手の合法手が爆増する

中央で大返しすると、相手は選び放題になる。
こういうときは“少なく返す”が効きやすい。

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パターンB:返した結果、角周りの入口(X/C)が開く

返し枚数が少なくても、角周りを開けたらアウト寄り。

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X打ちは代表例。「返しが少ないから安全」ではない。


6. 迷ったらこれ:超短い結論(暗記用)

  • 返す枚数ではなく、**相手の合法手(可動性)**を見る
  • 角周り(X/C)を開ける手は避ける
  • 自分の次の手が残るなら、多少返してもOK
  • 目的(手止め/誘導/パリティ)があるなら返す価値がある

7. ミニ問題(3問)

Q1:返し枚数が多い手Aと少ない手B、どっち?

答え:可動性で決める
相手の合法手が減るならAでもOK。増えるならB寄り。

Q2:返し枚数が少ないけどX打ちになる

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答え:だいたいダメ
少なく返しても角筋を与えるなら危険。

Q3:返し枚数はそこそこだが、相手の手が減る

答え:良い手の可能性大
「返す=悪」じゃない。


まとめ

「返す枚数は少ないほど良い」は、
**“返しすぎは相手を楽にすることが多い”**という経験則。

でも実戦は、

  • 相手の合法手が減るなら返して良い
  • 自分が詰まるなら返して逃げ道を作る
  • 目的があるなら返して形を作る

だから最終的には、

返す/返さないは、可動性と角筋で決める。

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